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政府が戦没者を追悼するという無礼について

NHKスペシャル 戦慄の記録 インパール

相手の戦力や兵站を軽視した無謀な戦いで甚大な死傷者を出し、旧日本軍の体質を象徴的に示したとされる「インパール作戦」。「援蒋ルート」の遮断を主目的とし、ミャンマー(当時ビルマ)からイギリス軍の拠点があったインド北東部のインパールの攻略を目指した日本軍は、この作戦で歴史的敗北を喫した。餓死・戦病死した日本兵の死屍累々が並んだ道が「白骨街道」と呼ばれるほど凄惨な戦いの実態はどのようなものだったのか。これまでインドとミャンマーの国境地帯は戦後長く未踏の地だったが、今回、両政府との長年の交渉の末に現地取材が可能となった。さらに、新たに見つかった一次資料や作戦を指揮した将官の肉声テープなどから「陸軍史上最悪」とされる作戦の全貌が浮かび上がってきた。数々のスクープ映像と新資料、証言からなる「インパール作戦」の全記録は、決して忘却してはならない悲劇の記憶を、未来へと継承していく。


見ごたえのある特集だった。

太平洋戦争でも、最も無謀な作戦だったとされるインパール作戦。
日ごとに追い詰められていく戦況を、イギリス軍の支配下にあったインパールを制圧することで一発逆転できるのではという希望的観測のもと、軍部内の人間関係による忖度や「大和魂」みたいな精神論でなんとなく決まり、当初計画していた3週間が過ぎて敗北が決定的になってからも、ずるずると4か月も続けられた。

圧巻だったのは、個々の戦死者について時系列を追って地図上に無数の点で示したCGだ。ビルマから400km以上離れたインドのインパールを目指し行軍するも、日を追うごとに増えていく死者。3万人ともされる日本軍の死者のうち、6割は作戦中止後の敗退中に死亡したそうだ。そのうち過半数は餓死や病死だったという。

作戦を指揮した牟田口司令官と参謀本部との間で交わされていた会話を記録していた斎藤博圀少尉の手記によれば、彼らはよく「〇千人殺せばこの陣地は取れる」などと話していたそうだ。
この「〇千人殺せば」というのは敵であるイギリス軍のことではなく、日本軍の兵士のこと。つまりそれだけの犠牲を払えば勝てるという意味であり、彼らにとって部下の兵士たちの命は単なる持ち駒の数にすぎなかったわけだ。

この手記を書いた斎藤少尉は、瀕死の目に遭いながらも九死に一生を得て帰還。なんと96歳の今も存命で、番組の最後のインタビューで涙ぐみながら語っていた。
「日本の軍隊の上層部の、兵隊に対する考えはそんなものです。それを知ったら辛いです」。


政府が戦没者を追悼したり、「英霊を顕彰する」とかいう靖国神社に政治家が参拝したりなどということは、実におこがましく無礼なことだと常々感じている。

日本という国家が勝手に始めた戦争で死に至らしめた人々に対して、政府ができることは追悼でも感謝でもましてや顕彰でもなく、ひたすら謝罪でしかないと思う。
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コメント

コメント(15)
No title
本当に無礼です!
この番組、見損ないました、転載お願いします。
日本兵の死因が餓死や病死が多いのは有名ですが
「〇千人殺せば」というのは敵であるイギリス軍のことではなく、日本軍の兵士のこと。つまりそれだけの犠牲を払えば勝てるという意味であり、彼らにとって部下の兵士たちの命は単なる持ち駒の数にすぎなかったわけだ。!
やはりそうなのですね。

hitomi

2017/08/16 07:57 URL 編集返信
No title
「お国のために戦った方々」と持ち上げられても、亡くなられた方には何の意味もないですね。国のために命を犠牲にすることを強要された人たちです。私も謝罪することと2度とこのような悲劇を起こさないという反省以外ないと思います。転載お願いします。

mimi

2017/08/16 08:04 URL 編集返信
No title
無礼というか、……有り得ないというか。国のために死ねと言われてたわけでしょ。名前を使われた天皇も可哀想な。

ゆまりん

2017/08/16 09:36 URL 編集返信
No title
> hitomiさん

NHKの回し者ではありませんが、NHKオンデマンドで216円で視聴できるようです。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2017080291SC000/index.html

転載ありがとうございます。

Jinne Lou

2017/08/17 04:23 URL 編集返信
No title
> mimiさん

全く死ぬ必要がなかったのにバカな作戦で死に追いやった膨大な戦死者に対して、死に追いやった当事者である国が「追悼」とか「感謝」とかを平然と言ってのけている事態が異常だと思います。
転載ありがとうございます。

Jinne Lou

2017/08/17 04:29 URL 編集返信
No title
> ゆまりんさん

無意味な死を強要された戦没者らは、犬死にだったことをまず認めることが大前提だと思います。
政府による追悼は、そこに恣意的な意味付けを行うセレモニーにすぎません。戦争を推進するための精神的装置である靖国と同列です。

Jinne Lou

2017/08/17 04:33 URL 編集返信
No title
> 内緒さん

ありがとうございます。
ある事情でゲストブック機能は使っていないのですが、トップページにある「ゲストブック」という記事で代用していますのでよろしくお願いします。

Jinne Lou

2017/08/17 04:34 URL 編集返信
No title
「犬死に」を認められない遺族もいるんですよね。祖国繁栄の礎になった、とか。ホントは解ってるとおもうんですけど。

ゆまりん

2017/08/17 10:20 URL 編集返信
No title
そういうフィクションがなければ、この巨大な喪失とその責任を誰も背負えませんからね。戦争がなければもっと繁栄していたかもしれないのに。

ただ、日本という国が明治以来の在り方を根本から変えざるを得なくなったという意味では、新しい時代の礎になったとは言えるでしょう。

Jinne Lou

2017/08/17 15:27 URL 編集返信
No title
あぁ…これは観たかったんですが観そこなったんです。実に見ごたえのありそうな番組ですね。再放送してくれないかしら…
靖国神社って昔(どんなもんかと思って)行ったことがありますが、実に居心地の悪い場所でした。人を【命】ではなく【戦力】としいう持ち駒でしか見られなかった軍上層部に好き勝手にされた挙句の死を受け入れさせるために無理矢理【英霊】などと言うものに祀り上げられているとしか思えなかった。仰る通り、本当に戦死した人々を思うならただひたすらにその人々に【謝罪】することだと思います。
玉串料とか何やってんだか…と思いました。

亀井A子

2017/08/17 19:50 URL 編集返信
No title
異常やないやろ。あのさ、全体を見ないで一つだけ取り出してこれで全体を代表させるという手法が詐欺やろ。これはまさにその詐欺やろ。おまえ、ちゃんとリサーチ・検証してから引用・転載しろや。最低限これくらいしとけや。あと、この記事がほんまいうならその論拠を具体的に示せや。

asami

2017/08/17 21:25 URL 編集返信
No title
実に渾身の作でした。最後に車いすでご本人が登場したシーンはこちらの体も震えました。番組が終わってもしばらく動けなかった。現在と比較するのは無茶とわかっていても、人間世界の構造とか人間の心理とかは変わらないのではないかとずーっと感じながら観ていました。同じ轍を踏まないと誰が言いきれるものか。靖国参拝などしている政治家たち、これ観ただろうか?観たとしたらどんなことを感じたものか聞いてみたい気がする。

gru**y_c*cli*t49

2017/08/18 00:43 URL 編集返信
No title
> 亀井A子さん

個々の人間を国家の従属物と見做し、戦争に進んで協力させるための装置が靖国だと思います。境内にある遊就館の展示内容は、それをあからさまに表していました。
平和とは最も縁遠い場所でしょう。

NHKオンデマンドでも観られるようです。

Jinne Lou

2017/08/18 03:02 URL 編集返信
No title
> asamiさん

まず、あなたはこの番組を視聴した上で言ってるのかを教えてください。

独自に発掘した一次史料と当事者の証言から、事実を浮かび上がらせた労作でした。事実を一つ一つ明らかにすることで戦争の全体像が明らかになってくるのであって、この番組もその積み重ねの一つです。内容に異論があるならまずその具体的な論拠を示すべきだと思いますがが、あなたの言っていることには具体的な事実に基づく指摘が何もありません。

「この記事がほんまいうならその論拠を具体的に示せや」というのは、あなたのクソみたいなブログの記事全般に言えることだと思いますが。

Jinne Lou

2017/08/18 04:42 URL 編集返信
No title
> グランピーさん

本当に戦慄の連続で、事実の持つ重みに圧倒されました。

現代の政治家や国家主義者らがいかに覆い隠そうと、これが今も昔も何も変わらない戦争や軍隊の本質だと思わせるものがあります。

ただ日本の軍隊の非合理な精神主義は、その中でもかなり特異なものでしょう。それが幾多の悲劇を生んできたことを痛感させられましたね。

Jinne Lou

2017/08/18 04:43 URL 編集返信
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