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「多数派特権の擁護」としての差別

杉田水脈氏と民意の絶望的な関係 小田嶋 隆

2018年7月27日 日経ビジネスオンライン


性的指向や性自認はは生まれつきのもので、本人の責任ではない。少数派だからという理由で、本人の責任ではないことで不利な扱いをすることは差別以外の何物でもない。

それを修正するために政府が税金を投じるのは、日本国憲法14条に基づいた当然の措置だろう。
条文の「すべて国民は、法の下に平等であつて」という言明でそれは明らかだが、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」のうち「性別」にLGBTは当然含まれると解釈するべきだ。

たまたま異性愛者でストレートの性自認という多数派に生まれついた側が、多数派だというだけで得られた既得権を守るために、たまたまLGBTという少数派に生まれついた者たちが同様の権利を求める声を拒絶しているというのが、杉田の主張の本質だと思う。
既得権を持つ者が払った税金を、そうではない者の権利擁護のために使うことが許せないのである。

今回の事例に限らず、多くの差別の根源にあるのがこの構図だろう。
それはあたかも、正社員の既得権を守るためにだけ活動し、非正規社員の待遇改善や雇用保障には冷淡な大企業の御用組合にも似ている。

たとえば「在日特権」を言い募る側が守りたいのは、たまたま「在日日本人」という多数派に生まれついた自分たちの既得権であり、それを少数派である在日外国人にも認めることが許せないというだけの話である。

何のことはない。「在日(日本人)特権」を振りかざしているのは彼らのほうだ。
だがその特権は自ら努力して得たものではなく、生まれつきたまたま得られた幸運にすぎない。それだけを根拠に、生まれつきの事情でたまたま得られなかった権利を少数者に認めることを拒絶する。それがマイノリティー差別の本質ではないか。

それらの主張に加担する多数派の「民意」の横暴を制約する、憲法の存在意義は大きいと思う。
「立憲主義」とは、決して“多数派”の市民による政治権力コントロールを意味しないのだ。
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コメント

コメント(6)
No title
小田嶋隆氏の筆致に引き込まれましたが、途中でなんか手続きしないと読めないのが残念で、時間のある時に手続してみます。
「生産性」で命を図ることに私も引っかかります。厭な考え方です。

亀井A子

2018/07/29 08:52 URL 編集返信
No title
「みんな違ってみんないい」というのがもてはやされたこともありましたが、「ナンバーワンよりオンリーワン」とかも。皆さんどうお考えなのかしら。

ゆまりん

2018/07/29 09:42 URL 編集返信
No title
> 亀井A子さん

小田嶋隆のコラムは、伝えたいことを文章で直感的に伝える技術にいつも感心します。見習いたいです。
日経のIDは無料ですぐ作れるので、ぜひ読んでみてください。

Jinne Lou

2018/07/30 00:28 URL 編集返信
No title
> ゆまりんさん

言葉の表層だけを捉えてもてはやす大衆は、腹の底ではそんなことこれっぽっちも賛同しちゃいないと思いますね。

水が高いところから低いところへと流れるように、多数派が心地よいほうへとひたすら流れていくのが世の常だと思います。

Jinne Lou

2018/07/30 00:35 URL 編集返信
No title
今日は時間があるのでやってみますね。
コラムといえば、東京新聞の斎藤美奈子さんのコラムが大好きです。思ってることをズバッと書いてくれているような感じで共感できててスカッとします。

亀井A子

2018/08/01 09:41 URL 編集返信
No title
斎藤美奈子はいいですね。書き方が上手いです。

Jinne Lou

2018/08/02 05:33 URL 編集返信
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