FC2ブログ

9.11

イメージ 1

5年前のこの日のことを、個人的な体験と結びつけて記憶している人は多いことでしょう。
あの日は、ある個人的な問題を抱えて気分が晴れぬまま帰宅。半ば自己嫌悪に陥りながら友人と電話で話していたときに、それは起こりました。
突然、TVの画面に映し出された異様な光景。「おい!TV見てるか!?」思わず電話口で叫んでいました。お互い事態をつかめぬままいったん電話を切ったものの、しばらくすると再びその友人から興奮気味の声で電話が。2度目のタワー突撃、そして崩壊…。そのときの電話で何を話していたかは、今となってはよく思い出せません。しかしもともと抱えていた個人的問題と、世界規模の衝撃とがない交ぜになった混乱を、うまく消化できないまま数日間を過ごしたことを憶えています。

こうして語られるあの日の衝撃の大きさは、一挙に3千余人の大量殺人が行われた「衝撃」から来ることは間違いない。では他方で、その後の「テロとの戦い」で殺戮された数万人の市民に対して、われわれはそれ以上の「衝撃」を受け続けてきただろうか。残念ながら、そうは思えません。この日に「あれから5年」を期して特集を組むメディアのうちどれだけが、たとえば2004年4月のファルージャ虐殺について、今でも継続的に追いかけているんだろう。

「テロとの戦いには市民の犠牲もやむをえない」とする言辞は、意外に多い。われわれはこうした論理に本気で怒り、立ち向かっているでしょうか。「やむをえない」と軽々しく言う人間は、では「テロとの戦いだから」と問答無用で自分の家が爆撃されても「そうか、それなら仕方がない」とおとなしく死んでいくのか。市民は誰もが殺されたくないし、殺されない権利を持っている。こんな当たり前のことを忘れた、徹底的に実感に欠けた議論が平然とまかり通っている現状に対して、怒りがあまりにも足りないのではないか。

膨大な犠牲を払い続けた「テロとの戦い」で、世界はちっとも安全にも平和にもなっていません。むしろ危険や緊張が増え続けていると言っていいでしょう。
「米国では交通事故で年間4万人も死んでいるが、誰も自動車を禁止しろとは言わない。『テロとの戦い』のために、思想や表現の自由まで投げ出してはならない」(作家 ノーマン・メイラー氏)。人命であれば、なおさらです。
スポンサーサイト



コメント

コメント(17)
No title
「テロとの戦い」もある程度は成果が上がっていますが、イラクの戦いは失敗だったし、アフガニスタンでもタリバンが復活とアメリカにとっては苦しい状況が続いています。

ank*zu*d*

2006/09/11 06:31 URL 編集返信
No title
報道のされ方、議論の仕方を見るにつけ、「人の死」に対する想像力が、全く欠けているように思います。だから、「憎しみの連鎖」が続くということにも考えが及ばないんでしょうね。

tom

2006/09/11 09:11 URL 編集返信
No title
仕事中で友人の電話でテレビを見ました。アメリカは独立後本土を攻撃されたことがないので、「テロへの反撃、市民の犠牲やむ得ない」と反応ををするのでしょうね。今はイラクで米兵の被害が多い、長期化などで撤退を求める声も多いのですが、空爆やミサイル攻撃だけなら米国民は今と違った反応かも知れません…。と思ったりします。

baz*tou*uu*970

2006/09/11 11:59 URL 編集返信
No title
何が変かっていうと、おおかたのアメリカ人や日本人でも多くは、あの日(9.11)を境にしてモノを言うことです。あたかもテロはあの日に初めて起こったみたいな、あの日が起点になるみたいな考え方です。アメリカ本土では初めてだったかもしれないけれど、あのような不条理はそれ以前も以後も世界中で起きて多くの犠牲者を生んでいる。9.11だけ特別視するのはヒトの命に軽重があると認めてしまうことだと思います。

gru**y_c*cli*t49

2006/09/11 23:05 URL 編集返信
No title
Jinne Louさん、もしよかったら一つ教えてください。もしA国がB国にテロを行った場合、B国はどう応じるべきなんでしょうか?私は「目には目を」というような報復はさらに事態を悪化させるべきだからすべきではないと思っているのですが、報復をしないとしてもA国のテロが収まる保障もありません。A国は懲りずにテロを繰り返すかもしれません。一体B国はどう応じればいいのでしょうか??たまに考えるんですが答えがだせないので・・・。

pho*b*_weat*er*cau*f*eld

2006/09/12 00:19 URL 編集返信
No title
>ankozundaさん 成果よりも、世界に及ぼしたマイナスの影響のほうが多かったでしょうね。

Jinne Lou

2006/09/12 02:04 URL 編集返信
No title
>tomさん 自分も含めて、身近で起こった誘拐殺人事件ほどには、遠い国の戦争で殺された膨大な数の市民へのリアルな実感がつかみにくいのは事実。自分の生活圏に引き付けて想像力を巡らすことが必要かもしれません。

Jinne Lou

2006/09/12 02:04 URL 編集返信
No title
>乱麻さん ベトナム戦争で米国内の厭戦気分が高まったのも、自国の兵士の犠牲が深刻化し始めてからだと聞きます。国外でさんざん戦争に首をつっこんできた米国に暮らす市民として、最後の一線を踏み越えないための良くも悪くも正常な防御反応なのでしょう。

Jinne Lou

2006/09/12 02:05 URL 編集返信
No title
>グランピーさん たしかに、事件が起こったのがアメリカの、NYの、WTCでなければ、世界はこんなにも関心を寄せたかは疑問ですね。それまで続いてきた世界のきしみが、あの瞬間にぽろっと現れただけだったのかもしれないのに。一人ひとりの顔写真まで報道されるほど個々の犠牲者が記憶されようとした9.11事件に対して、「対テロ戦争」での市民の死者たちへの関心はあまりに落差がありすぎます。

Jinne Lou

2006/09/12 02:05 URL 編集返信
No title
>Phoebeさん 単純な正解はないと思います。だからこそ、単純で分かりやすい議論に傾きがちなのかもしれません。テロとの戦いは必ずしも「A国対B国」という対称な関係ではないところが、問題を複雑にしていますね。ビンラディンは「容疑者」であって、「敵将」ではありません。迂遠でも、まずは警察力による捜査と司法による裁きが基本。そしてテロリストの要求に従わず、国際社会が協調すること。いかに地道な努力でも、市街地への空爆のような無差別殺戮で憎悪の連鎖に陥るよりは結果的にマシだと思います。

Jinne Lou

2006/09/12 02:06 URL 編集返信
No title
911にはかつての真珠湾を彷彿させるものがあります。あの後、米政府は未然に察知しながらあえてやらせたというような報道があったと思うのですが、自国民の命は過大に、他国民の命は過小に評価する米国の独善を感じます。

◆◆usami◇◇

2006/09/12 08:05 URL 編集返信
No title
いったいあの『テロ』ってのはなんだったんだろうか。それに連なるイラク戦争も。本当のところが知りたい。感傷とは違う本当のところ。

tou*uhy**uchi*

2006/09/12 21:22 URL 編集返信
No title
どうもここにきて、あの事件はヤラセだったんじゃないかなんて陰謀論までまことしやかに語られているし、何を信じていいのか分かりませんね。

Jinne Lou

2006/09/12 23:45 URL 編集返信
No title
日本は原爆が落ちて「非戦」を誓いました。アメリカは9・11で「戦争」を始めました。アメリカという国は、戦うことでしか自己を主張できない国のような気がします。この国が世界の中軸である限り、世界に平和はもたらされない気がします。

sakaejt

2006/09/13 01:29 URL 編集返信
No title
アメリカ中心の世界の枠組みを変えるために、アジアも対抗軸として緩やかな共同体を目指したいものですが、日本が近隣とこんな状態ではどうも…ね。

Jinne Lou

2006/09/13 02:36 URL 編集返信
No title
トラバします、よろしく。

baz*tou*uu*970

2006/09/13 23:38 URL 編集返信
No title
お二人ともTBありがとうございます。

Jinne Lou

2006/09/14 00:08 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

Jinne Lou

Author:Jinne Lou
個人>国家
公共≠国家

月別アーカイブ