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「弱者である」とはどういうことか

【石原知事発言録】なぜ親は関与しない いじめ苦に自殺予告文

「自殺なんか、予告して死ぬなって、そんなものは。大体甘ったれというか、文科省のところへ行ったのは大人の文章だね。愉快犯というんですかね、ああいう騒動が次々起こるだろうけども。弱いものだから、いじめる。もって弱いから死んじまうということでしょうけどね。親は何で関与してこないのかね。まず、やっぱり親がとにかく関与すべきじゃないでしょうかね。それで、親にも自分の告白ができない家庭というのは、とても気の毒だと思うけど。私なんかは、いじめられているというから、子供にけんかの仕方を教えましたよ」
「僕なんかだって、転校してきた時にいじめられた記憶がありますが、やっぱり自分で戦ったらいいと思うね。こらえ性がないだけじゃなしに、そういうファイティングスピリットがなければ、一生どこへ行ってもいじめられるんじゃないの」
「(手紙を)届けられた方は迷惑千万でね、こんなものって放擲するわけにいかないでしょうからね。明日ですか、予告してる日にちは。明日見てみて、この問題に対して世間の反応って決めたらいい。メディアの諸君も」
(10日、記者会見で。文科相あてに届いた、いじめを苦にした自殺予告文について質問されて)
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000140611140001

石原痴事の発言を見ていると、「弱いこと=悪」という意識がそこかしこに滲み出ているのが分かります。
ここで述べられている「弱いものだから、いじめる。もって弱いから死んじまうということでしょうけどね」という発言も、いじめる側に対して「弱い者をいじめるとは何事か!」と怒っているのでは断じてない。前後の文脈から判断すれば、むしろいじめられる側に向けて「弱いんだからいじめられるのも当然だ。その程度のことで死んでしまうのは、単に弱いからだ」とでも言いたげなニュアンスが読み取れます。

石原に限らず、こういう強者の論理を振りかざせる人間は幸せ者だなぁ。彼らのような人種には、「弱者である」とはどういうことかがとことん理解できない。想像することすらできない。
弱いのは努力が足りないからだ。弱い人間は、ちょっと努力すれば誰でも強くなれる――どうしてもそんなふうにしか考えられない。
だからいじめの解決策にしても、当然のごとく“いじめられる側”に努力を求める。いじめられている子に「ケンカの仕方」や「ファイティングスピリット」を教えてやれば、いじめはなくなると本気で思っている、らしい。笑っちゃうけど。(ノブテル君はそれで解決したかもしらんが)
そう考えると、弱者に対して石原が常に無礼で冷笑的な態度を取るのも頷けます。
ま、今の奴にとっちゃ怖いものなんかないだろうからね。五輪招致合戦での敗北シナリオ以外には。

<自殺予告>石原知事発言で追い詰められた 高2からはがき

 東京都教育庁は14日、いじめ自殺に関する石原慎太郎知事の発言が「さらに自分を追いつめることになりました」などと書かれた自殺予告はがきが知事あてに届いたと発表した。差出人は「都立高校2年」とだけ記されており、同庁は各都立学校長に該当するケースがあれば連絡するよう指示した / はがきは98年の年賀はがきで、12日付の新宿郵便局消印。内容は知事の発言に触れたうえで、「一生どこへ行ってもいじめられるのはつらいので『死にます』」などと書かれていた / 石原知事は10日の定例会見で「ファイティングスピリットがなければ、一生どこへ行ってもいじめられるのではないか」などと発言していた。
(毎日新聞) - 11月14日22時8分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061114-00000133-mai-soci

この「予告はがき」が本物だという保証はありませんが、たとえ偽物でも心情的には差出人にエールを贈りたい。
「弱者である」とはどういうことか。自らの怒りを強者に伝えるために、こんな不器用で姑息な手段しか持っていないということです。たとえ「甘ったれ」「迷惑千万」と罵られようが。

誰もが強者にならねば満足に暮らせない社会などクソくらえ! 仮に自分が強者であったとしても、だ。
弱者が弱者のまま、普通に暮らせる社会を求めます。
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コメント

コメント(16)
No title
権力の座にある石原みたいなのが、強者の視点だけで発言したって何の説得力もありゃしない。この人は人間をどんどんフルイにかけて、こぼれる奴は落ちろと言ってる指揮官だ。しかも富裕層には細かい目で庶民に荒い目のフルイが用意されてる。

gru**y_c*cli*t49

2006/11/15 03:06 URL 編集返信
No title
いじめを受けて死にたいと思っている子どもがこの発言を読めば、それだけで最後の背中を押す力になります。この言葉にはそれだけの罪があります。

kik*ou*17

2006/11/15 17:20 URL 編集返信
No title
こういう人間を首長に選ぶマジョリティの愚かさを、同じ都民として恥じます。

Jinne Lou

2006/11/16 01:05 URL 編集返信
No title
弱者を思いやる優しさがありません。そんな人間が政治を行っても、良くなる道理がありません。自民党の二世三世議員たちも、すべてが強者のまま政治を行っているのです。庶民の声を語るべき野党の力不足も感じます。

いわれひこ

2006/11/16 07:08 URL 編集返信
No title
ま、「視察」や「出張」と称した海外豪遊に毎回2千万円以上もの公費を使って平然としている人間に、庶民の感覚など分からないでしょうがね。http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-11-16/2006111601_03_0.html 余談ですが、日本共産党は都知事選に吉田万三とかいう知名度ゼロの独自候補を立てるらしい。一体、そんなので勝てると本気で思っているのか。反石原票の分裂で石原3選に手を貸す愚行には怒りすら覚えます。

Jinne Lou

2006/11/17 00:38 URL 編集返信
No title
「弱者」と「強者」については何年も前から考えています。古くは灰谷健次郎批判、「アグネス論争」での林真理子とアグネス・チャンとの論争で、弱者とは何か、ということを考えさせられました。(Jinneさんはお若いから知らないでしょうねえ。。。)私は灰谷の「弱者」に寄り添う姿勢に共感と反発、理解と懐疑の両方を感じます。アグネス・チャンにも同様で、裏を返せば林真理子や中野翠に共感するところもあるのです。だからそういう意味では石原発言のある側面はわかるのです。

sta*sto*y60

2006/11/19 16:07 URL 編集返信
No title
(つづき)主体の欠落したところで「弱者」に無批判に寄り添い、弱者を弱者であるがゆえに全面的に肯定して「強者」を批判する、という図式に今も昔も胡散臭さを感じます。私は今このメディアと世論の状況下、いじめられて自殺する生徒に、ある種の「武器」をふりかざしているのを感じ取ります。その武器は「世論」の同情であろうし、マスメディアの力、政治家が自分たちの味方になっていじめを放任している学校を叩いてくれる(だろう)ということでもあります。そうでなければいじめが話題になるやいなやの自殺の連鎖は理解できません。

sta*sto*y60

2006/11/19 16:14 URL 編集返信
No title
(つづき)そして自殺予告の手紙を文科省に送りつけたのもまさにこの同じ「武器」を取る心理であろうと想像します。私がこの生徒に面と向かったら、私は結構きついことを言ってしまいそうな気がします。きっとそれはその子にとっては負いきれない負担でしょうから、私はそういう自分の傾向をおさえなくてはならないと思います。「自分もその子にきついことを言ってしまいそうだ」という点で、私は石原発言に共感します。

sta*sto*y60

2006/11/19 16:21 URL 編集返信
No title
(つづき)そして「きついことを言ってしまいそうな自分を自制しなくてはならない」「その子にフォーカスしてその子が負いきれないことを今言う前に、もっと周りの状況を変えていかなくてはならない」と思う点において、石原発言に批判的です。石原が強者であり弱者の痛みがわかっていないことは確かですが、私は弱者の中の卑劣、弱者が強者と同じ意識構造で生きていることをも感じます。

sta*sto*y60

2006/11/19 16:27 URL 編集返信
No title
(つづき)その卑劣を一対一で糾弾してしまいそうな自分の傾向をおさえなくてはならないと思うかぎりにおいて、私は石原が「一対一」どころかインタビューのマイクの前で、都知事という立場で、いじめられている子を批判したことを大きな傲慢であると思います。(でも一対一で批判されることも結構きついから、私の方が石原より悪者かも。。。)

sta*sto*y60

2006/11/19 16:28 URL 編集返信
No title
トラバさせてください。記事の一番下につけた竹内浩三の詩を読んでいただきたく思います。この詩は「弱者」の叫びですが、自殺予告の手紙にはない、「弱者」が「弱者」のままに放つ自尊心の輝き、弱さを抱えながら毅然と生きている人間の輝きといったものを感じます。

sta*sto*y60

2006/11/19 16:37 URL 編集返信
No title
ありがとうございます。私は「弱者を弱者であるがゆえに全面的に肯定して『強者』を批判する」という立場に立つつもりはありません。上記の手紙の差出人は、石原の言うように「甘ったれ」で「迷惑千万」であるのはその通り。starさんが「きついこと」を言いたくなるのにも、相応の理由があると思います。

Jinne Lou

2006/11/20 01:54 URL 編集返信
No title
しかし同時に「弱者」であることを武器に、こうした不器用かつ姑息な手段を取らざるを得ない人がいる、という視点への目配りは必要でしょう。言わずもがなですが、「弱者である」とは、清く正しく美しいことではありません。一時的にせよ「強者」の立場に立つには、本当の強者であれば犯さずに済む罪を犯すこともあります(「だから弱者の罪は軽い」と言いたいのではない)。石原の発言には、そうした深慮や洞察が微塵も感じられない点において粗雑であり、批判に値すると思います。

Jinne Lou

2006/11/20 01:54 URL 編集返信
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余談ですが、アグネス論争は概要だけは知っていますよ。灰谷健次郎に対する本多勝一らの批判も。

Jinne Lou

2006/11/20 01:55 URL 編集返信
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Jinne Louさん、お若いのにさすが。2コマ目のコメント、さすがの深い理解でいらっしゃいます。私も同じことを感じておりましたが言語化できずにいました。ついでにアグネス論争と本田勝一による批判までよくご存知でしたね。

sta*sto*y60

2006/11/20 07:54 URL 編集返信
No title
弱き者が「悪」、強き者が「善」などという石原等が持っている観念は論外でしょうが、では何をもってして弱き者なのか、強き者なのか分からない・・・・きっとおそらくは、己が弱き者であるとか強き者であるとか一切執着しない境地にある人物こそが、善なる精神をもった真の意味での強き者なのでしょう。また一方でその境地にすらも執着していない超越的人物こそが、まさに最高善を極めた君子=聖人と言うにたる存在なのでしょう。

バシレイオス2世

2007/02/26 17:33 URL 編集返信
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