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(転載)教育基本法改悪の採決を止めるには

「保坂展人のどこどこ日記」に紹介されている提案を紹介します。もはや教基法に関してはタイムリミットがあまりに切迫していますが、一考に価する主張だと思います。文中でも指摘されている通り、署名やFAX、集会といった従来型のアピール手段には、限界を感じることが多い今日この頃。教基法改定への反対運動にしても、TVメディアが大々的に取り上げることは稀で、最初から反対している人たちが一方的に反対の声を上げて終わるだけのことがほとんどです(だからと言って、やめてしまえばそこで終わりですが)。与党の数の力に対抗するには、無党派層を中心とした有権者による世論の圧倒的な包囲網が絶対に必要。問題について意識していない一人ひとりに対して自発的・主体的な思考を促し、「自らの行動が問われている」ことを真に自覚させる手段をもっと真剣に考えるべきでしょう。とくに教基法に関しては、現行法と政府案それぞれの内容とそれらの持つ意味について、国民の大多数がほとんど知らない状況で成立しようとしています。こんな先例を積み重ねることには、最後の最後まで抵抗したい。


投稿 教育基本法改悪の採決を止めるには



今日は大阪で開かれた社民党憲法学校(党大阪府連合主催)に日帰りで行って、「教育基本法」と「共謀罪」をめぐる緊迫した国会状況を話してきた。会場からは、「私たちはどうしたらいいのか」と問いかける声が続いて、何とか参議院審議段階で教育基本法の成立を阻止することが出来ないかと多くの人が真剣に感じ始めていると受け止めた。今日はメールでいただいた意見をふたつ紹介することにする。これからも、メール投稿の場合は「投稿・公開可」と書き入れて、匿名か実名かも書き込んでいただければ、政治家の一方的発信のブログではなく、「声と智恵の交差点」となるように場をつくり続けていきたい。

『メディアを買い取る責任』  豊島耕一(佐賀大学理工学部教授)

従来型の闘い方では負ける公算が大


現在,教育基本法の運命がきわめて厳しい状況となっています.よほど幸運なことがない限り,わが国は数ヶ月後には,この戦後民主主義の貴重な宝を失った未来を迎えることになります.政府・与党が「追い込まれている」とか,明確な根拠もなく,廃案に追い込むことが「十分に可能」というような,大本営発表のようなことを言っていてはいけません.教基法擁護の陣営を元気づけたいという気持ちは分かりますが,「追い込まれている」のはどちらかと言えば擁護勢力の方です.状況を冷静かつ正確に認識し,それを変えるのに「必要な」方針が必要です.本当に阻止しようと言うのなら,何かの幸運を当てにするわけには行きません.

この状態を挽回するにはよほどのことが必要だと思われます.従来からの,集会やデモ,ファクスやメールでの要請といった手段だけでは阻止は困難と思われます.過去,周辺事態法やイラク特措法など,護憲勢力は繰り返し大きな集会を開くなどの運動で対抗してきましたが,国会では負け続けました.それに比べて今回が特別に有利な状況があるという根拠はありません.これまでの轍を踏んではいけません.

必須な活動分野としてのテレビCM


「よほどのこと」とは,何と言っても教基法改悪の危険性を,短期間にしかも大多数の,数千万人の規模で国民に訴えることです.それにはどうしてもテレビCMが必須であると思われます.実際,改正案の内容や問題点はもちろん,現行の教育基本法そのものが一般にはほとんど知られていないのが実態です.これは憲法九条をめぐる状況とは全く異なります.憲法は学校で教えられますが,教育基本法はこれまで大学入試にも出たことはないでしょう.ほとんどだれも知らないと言ってもいい程です.したがって,この状況を急速に是正するにはテレビCMしかありません.

反対集会を繰り返し,それに多くの人を動員しても,それだけでは阻止することはまず無理と思われます.なぜならメディアはこれを意図的に無視するので,たとえ何万人集まっても,大半の国民にとってそれは無かったに等しいのです.メディアのこのような現状をこの一ヶ月で変えることは困難でしょう.であれば,我々でテレビというシステムの一部を買い取るしか方法はありません.繰り返しますが,集会などで盛り上げていけば止められると考えるのは「幻想」であり,危険です.法案が成立した後でいくら「メディアの責任が大きい」などと憤慨してみても何の役にも立ちません.メディアを利用しなかった私たちにも責任があるのです.

「非常事態」にふさわしい「非常手段」を


テレビCMには大きな資金が必要なため,個人や小さな市民団体ではとても不可能です.本来なら日教組などの大きな組織が動くべきです.日教組は教基法問題で「非常事態宣言」*を出しています.もしこれが言葉だけでないのなら,「非常事態」に見合った「非常手段」が取られてしかるべきでしょう.しかし今までに見られるのは,集会やデモ,ファクスやメールでの要請といった「通常手段」のみです.

どのくらいの費用が必要か私自身は不案内ですが,仮に1億円としても(松坂投手の「入札額」のわずか60分の1!),もし個人カンパなら1万人×1万円で達成できます.教育関係の労組は数千万円を出すべきです.反対勢力の個人と組織にそれぐらいの資金力は絶対あるはずです.素晴らしい印象的なCMであればだれでも惜しまずにお金を出すはずです.

そのCMの内容ですが,この法案が成立したらいかに息苦しい社会になるかということを,鮮やかに印象づけるようなものでなければなりません.そして話題性も持ち引きつけるものです.そのための有能なCM制作の人材を見つけなければいけません.このようなプロジェクトの成否はひとえにCM作家の才能にかかっています.護憲勢力ないしその手が届くところにもそのような作家はいるはずです.

保守層に浸透するテレビCMを


私なりにそのCMのイメージをスケッチして見ました.
現行教基法の抽象的な規定(人格の完成)と,徳目を強制する改正案を対比させる.
現行法が施行されたあとの日本と北朝鮮のイメージを重ねる.
現行法が「人格の完成をめざす」と抽象的であるのに対し,改正法案では,次に掲げる目標を「達成するよう行われるものとする」とあることを表示する.

伝統と文化を尊重し(1), 我が国と郷土を愛する

(1)の「実例」として,茶髪は「伝統」に反するとして,丸刈りにされるシーンなど.

これは若者向けを想定しましたが,他に中高年保守層向けなど,数種類のものが必要でしょう.排外主義の危険があろううとも,やはり北朝鮮のイメージ(たとえばあの極端に整然とした軍隊の行進)を使うことは今日決定的に重要だと思います.戦前の日本をオーバーラップさせるのがオーソドックスかも知れませんが,しかしこれでは“いつものサヨクのメッセージ”とフィルターされる可能性が大です.不可欠なのはやはり北朝鮮のイメージと思います.これこそがいま大量の人々の脳に,情報にスティグマを付けてインプットする最強の「ベクター」(生物学用語.細胞に目的の遺伝子を導入するための遺伝子の運び屋ウイルス)です.要は,保守層の人々に浸透するCMにしなければならず,そのためには保守層や右派の語彙やイメージを使用することが重要だと言うことです.

その時代の最強の「武器」で闘わなければ勝てない


優れたテレビCMが大きな効果を持つということはだれもが認めるところだと思いますが,護憲勢力は今までほとんどこれを使っていません.これは新聞の意見広告とは対照的です.その理由はまず第一に,費用が極めて高額なことが挙げられるでしょうが,それだけでなく,テレビやそのCMというものを蔑視する心情があって,そのためこの分野のことをあまり考えようとしないということもあるのではないでしょうか.しかし,民主主義は国民の多数の意見で動くものであり,そのためには国民の大多数にメッセージを届けなければなりません.集会や駅頭での宣伝だけでは,情報やメッセージをこの「大多数」に届けるのは困難です.現在のところテレビを超えるメディアはありません.インターネットがテレビの影響力に追いつくのは,この一ヶ月では無理です.ですから支配層はこれまでテレビを操って思うように事を進めているのです.彼らは,われわれがテレビに目を付けないことを「バカなやつらだ」,「しめしめ」と思っているかも知れません.

アメリカのメディア広告では商業目的とそれ以外とで料金設定が違うと聞きます.日本では,新聞広告の場合は名目料金は同じで,「値引き」というかたちで意見広告を安くしているようです.同様のことはTVでも行われるべきですし,この価格交渉も「メディア対策」の運動の一局面でしょう.さらに,アメリカのように名目でも別立ての料金設定を目指すべきでしょう.

教基法擁護勢力の「愛国心」が試されている


教基法に「愛国心」を盛り込むという教基法改悪に反対する人々こそが実は「愛国者」だと思います.つまり,この国を,国が法律で徳目を決めるような『イデオロギー国家』に転落させてはならない──私もそうですが,教基法改悪反対で立ち上がった人たちにはこのような思いがあるはずだからです.まさに「体制擁護勢力」の「愛国心」が試されていると思います.この貴重なる「国家財産」を保全するための一億円程度の「広告費」を惜しんではいけません.(2006年11月23日)

* 日教組の「非常事態宣言」
http://www.jtu-net.or.jp/news/06/10/26n1_1.html
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コメント

コメント(20)
No title
<テレビやそのCMというものを蔑視する心情があって><民主主義は国民の多数の意見で動くものであり,そのためには国民の大多数にメッセージを届けなければなりません.>この期に及んでやっと自らの頑迷さを反省できたか?あまりにも気づくのが遅すぎる。「体制擁護勢力」て自分が守旧派だと宣言しているんですね。「若者の右傾化」というけれどサヨク自体が旧体制旧世代の象徴として若い世代から攻撃されているという自覚を持て。

she*g*ang_q*b*ng

2006/11/26 09:51 URL 編集返信
No title
個人的にはTVやCMなど大衆的なものを蔑視してきたつもりはありませんが、そういう反省が必要な人たちが多いのは確か。ただ「サヨク自体が旧体制旧世代の象徴」とは思いません(そのような個人・組織が存在するのも確かだが)。ネットにはびこるそうした未熟な思考パターンこそが「旧体制旧世代」になる日は近いと信じています。

Jinne Lou

2006/11/27 00:32 URL 編集返信
No title
ウヨク、サヨク、右翼、左翼という枠組み自体がもう既に旧態依然たる遺物であって、これに拘泥していると保守、リベラル共倒れとなるでしょう。私個人は、現在の右傾化を必ずしも愛国心の強化復活と見てはおらず、むしろ種明かしをしないと食えなくなった売れないマジシャンのようなものと見ています(ましな例えが見つからないので)。

och**obor*maru

2006/11/27 01:09 URL 編集返信
No title
「種明かしをしないと食えなくなった売れないマジシャン」とは言い得て妙ですね。言わんとするところは何となく分かる気がします。「手品にはタネがある」ことを鬼の首でも取ったように吹聴し、種明かしよりも本来のマジックを究めようとする側を茶化す人たち、といったところか。

Jinne Lou

2006/11/27 02:17 URL 編集返信
No title
私もデモ、坐り込み、抗議ファックスといった従来の闘い方に限界を感じていました。反対の層が広がらないんです。街頭チラシもあまり効果がない。学校時代、および現在の友人すべてに手紙とリーフレットを送付中です。多くの人に「改正」案の怖さを知らせなければならないのです。CM、10万円出します!

sta*sto*y60

2006/11/27 12:04 URL 編集返信
No title
私は年賀状アレンジで行きます。たいした枚数じゃありませんが、去年から一ひねりしてます。

gru**y_c*cli*t49

2006/11/27 18:36 URL 編集返信
No title
権力者はマスコミを動員した大衆操作が必要だが、反対勢力は大衆を対話によって啓蒙すれば何とかなると思ってきた、ということだと思います。日本では放送法体制を問題視せず、独自の放送メディアを発達させてこなかったとも言える。しかしここにきて、反対勢力にも大プロパガンダが必要だという主張でしょうか。ま、使えるものは何でも使い、やれることは何でもやってみますか☆

TOCKA

2006/11/27 22:31 URL 編集返信
No title
すごい。さすがstarさんは意気込みと覚悟が違う。私は10万円も出せるか分かりませんが、とりあえず2万円くらいなら何とか…。年賀状でもアピールしてみようかな。やれることは何でもやる、と。

Jinne Lou

2006/11/28 00:05 URL 編集返信
No title
法律は国民がつくるものだからおおいに議論したらよろしい。何度でも改正すればいいのです。現在の法律を保守しても何もはじまりません。そのうえ、反対勢力のしつこさと的外れな主張には多くの国民が嫌気がさしているようです。

ptr*g*e

2006/11/28 12:24 URL 編集返信
No title
「法律は国民がつくるものだからおおいに議論したらよろしい。何度でも改正すればいいのです」 そういう一般論には誰も反対していません。現行の教基法よりも政府案のほうがより悪いとの考えから、私は“今回の改正について”どこまでもしつこく反対しています。論拠はこれまでの記事でも示しているほか、他にも多くのブロガーが書いている通り。批判するなら漠然とした一般論ではなく、それらの具体的論拠について中身のある批判を行ってください。

Jinne Lou

2006/11/28 23:44 URL 編集返信
No title
「反対勢力…多くの国民が嫌気がさしている」だって? 根拠は?ちなみに、こちらの世論調査ではこんな結果が出ていますけど。<安倍首相が最優先課題にあげる臨時国会での教育基本法改正については、「今の国会にこだわらず、議論を続けるべきだ」が66%と多く、「今の国会で成立を目指すべきだ」は21%にとどまった。「改正する必要はない」は6%。首相の意気込みとは裏腹に世論は慎重なようだ> http://www.asahi.com/politics/naikaku/TKY200609270414.html

Jinne Lou

2006/11/28 23:46 URL 編集返信
No title
全国PTAの調査でも、改正を支持する保護者は約3割(平成17年)で、その中でも早期に改正を望む声は一割未満です。平成15年、16年と比べても、改正に慎重であるべきとする意見が増えています。世論を置き去りに、改正に突進する政府です。

och**obor*maru

2006/11/29 01:18 URL 編集返信
No title
国民が求めてもいない「改正」を、さも選良ヅラして推し進める。自民党の、自民党による、自民党のための「改正」でしかありません。

Jinne Lou

2006/11/30 02:35 URL 編集返信
No title
久し振りにコメント致します。小生も基本法改悪には反対の立場ですが、自民党を先の衆院選で大勝させた結果がこの改悪を推し進める原動力になっております。その責任の一端は、やはり国民の意識不足でしょう。改革の名に踊らされて小泉の標語政治に翻弄された結果です。ただ、小生は楽観も致しております。基本法は謂わば箱、箱を新しくしても、中身が一気に変わる事はありますまい。中身を替えようとすれば現場の教師を殆ど変える必要があり、現実に不可能、これもまた、標語政治の実効性の無さでしょう。

公平論001

2006/12/06 00:50 URL 編集返信
No title
「郵政」やら「改革」やらに浮かされて、教基法の「キ」の字も出ない総選挙の結果として、今の現実があります。たしかに改定の実効は劇的に表れてくることはないでしょうが、教育に限らず国民が戦後選び取ってきたはずの日本社会の在り方が、じわじわと根底的に変質させられていく恐ろしさがあります。

Jinne Lou

2006/12/06 01:39 URL 編集返信
No title
公平さん、横レス失礼します。私は楽観できないです。箱といっても燻蒸の箱ですよ。また中身は先行して進んでいると思いませんか? 日の丸君が代強制に始まって、教師の評価システムとか数値目標設定とか、、、むしろ基本法改悪で総仕上げと言えると思います。拠り所がなくなってしまうのです。だから改悪に反対です。

gru**y_c*cli*t49

2006/12/06 01:41 URL 編集返信
No title
私は大学生ですが、上の方の『反対勢力の。。。』という意見は私の生活圏の周囲では間違ってはいないと思います。大学では学生自治会が改正反対のキャンペーンを行っていますが、教室移動の学生を捕まえて意見を求めたり、教室の机全てにビラをまいたりしていい加減しつこいかな。。。と。一般学生も彼らに全く興味を持っていないようです。彼らの主張が受け入れられないのは他人の時間を犠牲にしてしまうという非効率的な宣伝手段が原因だと思います。これに代わる宣伝方法が見つからない限り、事態は変化しないのではないでしょうか。

lol

2006/12/09 13:23 URL 編集返信
No title
私の大学時代の自治会は、もっと過激でしたよ。突然ゼミの教室に飛び込んできて「今にも日本政府が北朝鮮侵略を企てようとしている!」みたいな演説を始めて、ゼミ長が「授業中なんで出てってください」って抗議しても「戦争が始まったら授業どころじゃないぞ!」と聞く耳なし。これじゃあ誰にも共感を得られないだろうと思いました。「正しいことを主張してるんだから、必ず分かってもらえる」という確信に寄りかかりすぎると、往々にして自分のやっていることを客観視できなくなります。

Jinne Lou

2006/12/10 00:46 URL 編集返信
No title
JinneLouさん、お若いんでしょ?↑のような光景、まだあったんですか。彼らのスタイルは私も好きじゃないけど、あえて批判しようとは思わないんです。もっと批判すべきものいっぱいあるし。「共感されない」のは本当は彼らのスタイルのせいじゃないと思います。

sta*sto*y60

2006/12/10 19:23 URL 編集返信
No title
うちはそういう学校だったので。自分も彼らには批判的だけど、戦うべき相手だとは思っていません。

Jinne Lou

2006/12/11 01:07 URL 編集返信
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