FC2ブログ

GETTIN WITH IT / THE BENNY GOLSON QUINTET

イメージ 1

たま~に聴きたくなるのが、凡庸だけどいい味出してるハードバップ作品。これなんかもその一つ。

ベニー・ゴルソンといえば、ハードバップを代表する名コンポーザー&アレンジャー。音楽監督を務めたジャズ・メッセンジャーズ時代には、猫も杓子も蕎麦屋の出前も口ずさんだという〈モーニン〉(作曲はボビー・ティモンズ)をはじめヒット曲がずらり。〈アイ・リメンバー・クリフォード〉みたいな問答無用の名曲から、〈アロング・ケイム・ベティ〉〈ブルース・マーチ〉〈ウィスパー・ノット〉〈ステイブル・メイツ〉といったB級ハードバップ的ワクワク感濃厚な旋律の佳曲まで、いい曲をたくさん書いてます。

ただこの人、作曲家としては好きだけど、テナー・サックス奏者としてはう~むイマイチ…といった評価が多いようで。
かく言う自分も、ゴルソンのテナーはどうも好きになれない。コールマン・ホーキンス系の奏法とでもいうのか、まず「ブフォフォー」というだらしない音色が聴いていて気持ちのいいものではありません。それに、拍を無視した勝手なノリとか、アドリブ構成が行き当たりばったりで一つひとつのフレーズに締まりがないあたりとか、発作的に突拍子もない高音を出したりとか、いちいち耳障りで聴いていて疲れます。ゴルソンのアドリブが終わって、相棒のカーティス・フラー(トロンボーン)の番になるとホッと人心地。

主役であるゴルソンのテナーを無視すれば、このアルバムはなかなか面白い。1曲目〈ビーズと腕輪〉はボロディンの有名曲からメロディーを拝借したスタンダード。トミー・フラナガンのピアノがルバートで奏でる前奏に続いて、フラーのミュートトロンボーンが楽しい音色で登場。この曲にはちょっと珍しいミドルテンポの軽快な演奏に仕上がってます。

ちなみにこのアルバムはもともと「ニュージャズ」というレーベルから出ていて、ブルーノート、リバーサイドと並ぶ3大ジャズレーベルに数えられるプレスティッジの傍系レーベルとの位置づけ。プレスティッジのオーナーだったボブ・ワインストックという人は、ブルーノートのアルフレッド・ライオンの神経質なまでの緻密さとは対照的に、かなり大ざっぱな人物だったらしい。
ジャズでは珍しく事前にギャラを払ってリハーサルまでやらせたブルーノートじゃ考えられないことに、とりあえずミュージシャンを集めて、あらかじめ演奏する曲も決めずにぶっつけ本番、気まぐれと成り行き任せで1枚作ってしまうこともしばしばだったとか(実にジャズらしいと言えばジャズらしいが)。レコーディングが佳境に入る夕方5時ごろになると、「よっしゃ、じゃあここらで一発、ブルースでもいってみようか」ってな感じだったそうで、ミュージシャンの間では「おい、またボブのファイブ・オ'クロック・ブルースが始まったゼ(笑)」なんて陰口を叩かれていたとかいう話も。アルバム作りに社長の人柄が表れるのも、ジャズ専門の3大レーベルならではか。「3大レーベル」と言えども、当時の音楽業界全体から見れば弱小そのものだったわけですが。

閑話休題。この作品もラスト2曲はブルースで、全体の雰囲気を決定付けるようなシブい演奏。ただしこれらに限っては“ボブのファイブ・オ'クロック・ブルース”というわけではなさそうで、テーマ部分の2管ハーモニーとか、途中でテンポが変わるあたりとか、事前にそれなりの入念な作りこみが感じられるアレンジ。ここでもゴルソンのやかましいテナーは無視して、フラーの哀愁漂うトロンボーンを軸に聴くべし。ピアノのソロではトミー・フラナガンの弾くいわゆる“トミフラ節”も随所に出てきて、マイナーブルースのカッコよさ全開。'50年代終盤のゴルソン(の曲&アレンジ)、フラー、トミフラは黄金のハードバップトリオだと思ってます。無論、ダグ・ワトキンスのベースもアート・テイラーのドラムスも、ツボを押さえた好演。

テナーが玉に瑕…度 ★★★★★
みんな仲良し度   ★★★★☆
ハードバップ度   ★★★★★

スポンサーサイト



コメント

コメント(0)
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

Jinne Lou

Author:Jinne Lou
個人>国家
公共≠国家

月別アーカイブ