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死に至る病

6月6日
02:54 工場で大暴れした/被害が人とか商品じゃなくてよかったね
02:55 それでも、人が足りないから来いと電話がくる/俺が必要だから、じゃなくて、人が足りないから/誰が行くかよ
02:55 誰でもできる簡単な仕事だよ
03:00 別の派遣でどっかの工場に行ったって、半年もすればまたこうなるのは明らか
03:07 仕事に行けっていうなら行ってやる/流れてくる商品全部破壊してやる
03:09 彼女がいれば、仕事を辞めることも、車を無くすことも、夜逃げすることも、携帯依存になることもなかった/希望がある奴にはわかるまい
03:10 で、また俺は人のせいにしてると言われるのか
03:10 いつも悪いのは全部俺
(略)
14:39 店員さん、いい人だった
14:42 人間と話すのって、いいね
6月7日
09:14  隣の椅子が開いてるのに座らなかった女の人が、2つ隣が開いたら座った/さすが、嫌われ者の俺だ
(略)
19:36 「死ぬ気になればなんでもできるだろ」/死ぬ気にならなくてもなんでもできちゃう人のセリフですね


http://www2.asahi.com/special2/080609/TKY200806090216.html


いつしか自分は、「希望がある奴」「死ぬ気にならなくてもなんでもできちゃう人」とは違う世界を生きていることに気づいてしまった。生きている限り、そんな自分から逃れることはできない。

たしかに絶望は深い。

彼は、人間が生きねばならない基本的な絶望に、死に至る病に、直面したのだと思う。
しかし、絶望の深さがまだ足りない、とも思う。

こんなとき、人はどうすればよいのか。ある者は(というか大半の者は)気付かないふりをして死ぬまでやり過ごす。ある者は硫化水素で自殺する。ある者は「誰でもいい“誰か”」を殺しまくる。ある者はネット上の仮想の人格をまとって他者を攻撃し、向き合うに堪えない自己の弱さを糊塗する。

彼によってあまりに突然生命を断たれた「希望がある奴」「死ぬ気にならなくてもなんでもできちゃう人」(であるかのように見えた人々)は、彼にとって自分とは関わりのないただの「風景」だったのかもしれない。
その一人ひとりに、それぞれの物語があり、多くの他者とのネットワークの中で固有の位置を持っていることに、どれだけ想像が及んだのか。
そしてそれらの人々もまた、自分と同じく基本的な「絶望」の中で生きていることにも。


絶望とは死に至る病である。自己の内なるこの病は、永遠に死ぬことであり、死ぬべくして死ねないことである。それは死を死ぬことである。

  ―― セーレン・キェルケゴール



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コメント

コメント(10)
No title
テレビを遮断した生活を送っているのでネットと新聞で情報を拾っています。
「死に至る病」ですかぁ…
この事件については私も思うことがあるのでちょっと書きかけています。
でも、新聞であるおエライさんが言っていた「派遣」とゆう働き方が蔓延?する社会制度が悪い…みたいな論調には首を傾げましたが、こちらの記事は「うう~む」と納得する部分がありますね。

まけお

2008/06/11 09:09 URL 編集返信
No title
確かに「基本的な絶望」に直面する人は多いと思いますが、その絶望の程度があまりに深い人たちが確かにこの世界にはいます。世界を終わらせるほどの絶望に直面する人の苦しみはそれを経験した人でないとわからない。でも社会は理解し共有する努力をすべきです。新聞紙上でこの事件についてコメントしている所謂インテリども(大学教授や元検事などは)はそんな絶望に直面したことはないでしょう。直面していたらその地位にいないはずですから。私が読んだ識者のコメントで本質を捉えてまともだと思ったのは精神病理学者のそれだけでした。こういう専門家は積極的に社会に発言していってほしいです。

lotusrayeighty

2008/06/11 11:35 URL 編集返信
No title
もちろん言い訳ですし、自己正当化満載ですけど、わかる気がするんです、加藤容疑者の気持ち。派遣も正規雇用も両方経験しましたからね。

sta*sto*y60

2008/06/11 19:42 URL 編集返信
No title
>まけおさん

単純労働の派遣が拡大したことも事件の社会的背景の一つではあると思いますが、私もそれがすべてであるとは思いません。むしろそれも、根底にあるもっと大きくて深刻な現実の一つの表れではないかと感じます。社会制度だけにも、個人の問題だけにも還元できないでしょう。強いて言えば、社会の側も個人の側も、あまりにも身も蓋もない世界観、人間観に陥ってしまっているのだと思います。

Jinne Lou

2008/06/12 00:10 URL 編集返信
No title
>lotusさん

事件から1日や2日しか経っていない段階で「容疑者の心の闇に迫る」とか言って、卒業アルバムからテキトーな文章拾って評論屋にもっともらしくコメントさせるワイドショーにも反省してもらいたいですね。

Jinne Lou

2008/06/12 00:23 URL 編集返信
No title
>内緒さん

他人から見れば笑い飛ばせることに見えても、当事者にとっては重大な問題だということはよくありますね。個人の抱える問題というのは、最終的にその個人が外形的にも内面的にも乗り越えねば「解決」とはならないのでしょう。
両親は今はまともでいられる状況ではないでしょうから、あの会見だけで評価するのは避けたいと思います。

Jinne Lou

2008/06/12 00:31 URL 編集返信
No title
>starさん

朝日の「声」欄に載っていましたが、派遣の職場では職務中のケガでも労災どころか通院したら叱責されることすらあるらしい。私も日雇い派遣はけっこうやりましたが、人間を都合よく使い捨てられる社会になったもんです。社会の根底にある人間観が腐っているのだと思います。

Jinne Lou

2008/06/12 00:37 URL 編集返信
No title
まけおさんは元気ですね。

確定できました。

r*d*u*g*2*0l

2008/06/12 23:36 URL 編集返信
No title
何度考えても、こういうことは、起こって欲しくなかったですね。

ケータイやネットやゲームなどの中には[救い]はありませんから、直接人と触れ合うのが一番ですね。

直接互いの声を聴き、互いの空気を感じれば少しは変わります。

ハザマ

2009/06/20 21:29 URL 編集返信
No title
彼もほんの少しのきっかけさえあれば、孤立せずにあんな悲劇も起こさずに済んだはずだと思うとやりきれません。周囲には彼を気遣う人たちもいたようですが、本人には焦燥感のあまり見えなかったのかもしれません。

Jinne Lou

2009/06/21 03:04 URL 編集返信
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