FC2ブログ

変わる政治論議の風景

政権交代で「ネット右翼」危機? 2ちゃんねるでも潮流変化か

 民主圧勝、自民惨敗で、ネット右翼について、「窮地」だとする告白や指摘が相次いでいる。拠り所とされる2ちゃんねるでは、その考え方を批判する書き込みも多くなっている。ネット上でも、風向きが変わっているのか。
 (略)
マスコミの世論調査で、麻生自民の敗北は動かしようがない趨勢となってきた。そして、選挙戦に入ると、2ちゃんねるの麻生関連スレッドでも、「ネトウヨ涙目」「ネトウヨ憤死」などと、ネット右翼を罵倒するような書き込みが増えてきたのだ。スレッドによっては、麻生自民への賛否が半々ほどにも。選挙は、フタを開けてみても、ほぼマスコミの予測通り、民主党が300議席以上の圧勝だった / 2ちゃんでは、選挙後も、ネトウヨ批判が収まらない。そんな中で、ネット右翼らしい若者がスレッド上で窮地を訴える告白も出て、話題になっている / この若者は、神奈川県内の小選挙区で、自民党のネガティブキャンペーン用チラシを撒いて回ったと2009年8月31日未明に書き込んだ。そして、説得に反して家族が民主党に投票し、怒って玄関のガラスを割ったと告白。しかし、スレの仲間からはこれをネタ扱いされたと反発し、「このスレの連中だけは仲間だと思ってたのに お前らも裏切るのかよ!! 許せない」と息巻いたのだ(以下略)

9月1日21時5分配信 J-CASTニュース

この若者は極端な例だろうが、いわゆる「ネット右翼」とされる人々の間に動揺が広がっていることは、彼らのブログをいくつも見て感じていたことだ。

彼らは民主党がマニフェストとして掲げる、子ども手当や農家戸別所得補償などの中心的な政策にはあまり関心を示さない。その反面、政策集「INDEX2009」の中で申し訳程度に触れられている「選択的夫婦別姓」「外国人参政権」「国立追悼施設」などには極度に敏感であり、こうした左右のイデオロギー的な論争に関わる政策ばかりをほじくりだして非難に明け暮れている。(個人的にはいずれも実現してもらいたい政策だが、民主党がこれらに積極的に取り組むことは当面期待できないだろう。ついでに言えば、夫婦別姓を認めれば日本の家庭が崩壊するかのような妄想をいまだに主張している人々がいて、呆れる。制度として導入しても実際に夫婦別姓を選択するカップルはごく少数である可能性が高いが、仮に大多数が選択したとして一体何が問題なのか理解に苦しむ)

民主党の土屋敬之都議の“内部告発”によれば、これらが明記されていない民主党のマニフェストは「偽装マニフェスト」なのだという。だがマニフェストにこれらが書かれていないのは、単に主要な政策ではなく優先度が低いというだけのことだろう。政策集には「警察改革」「自殺予防対策」「クマ被害対策」などといった、マニフェストで触れられていない項目が他にいくつもある。優先度に関係なくすべての政策を書かねばならないのならマニフェストなど作る意味はなく、すべてを列挙した政策集だけで十分である。
土屋都議は「所属政党でも間違いは間違いと批判する」などと言っているが、彼の主張の中で自民党よりも民主党の政策に近いものを見つけるほうが難しい。民主党公認で都議に当選し、都議会民主党の副議員団長にまで就任しておきながら、これほど党の政策とかけはなれた主張を行うのは政党政治の根本をないがしろにする行為である。彼を放置しておく民主党の対応もどうかしている。



マニフェストに見出せなかった左右の対立軸をワン・オブ・ゼムにすぎない一政策に投影して、それが民主党の本質であるかのように言い募る。「国賊」「反日サヨク」などと極めて分かりやすく単純化し、全否定する。
だが、こうした安易な問題設定の仕方が正しいのか。従来型の左右の対立構図でしか物事を考えられない人々が、なんとか政治的論議の場に居場所を見出そうと躍起になっているようにしか見えない。この種の人々は左右の両派に存在している。彼らはネット上には多いように見えても、有権者全体からみればごく少数にすぎない。そのごく少数に向かって、自民党は投票日当日の全面広告で「偏った教育の日教組に、日本の教育を任せてはいけない」なんて、相変わらずピントのずれたネガティブキャンペーンをやっていたわけだ。


高橋源一郎氏の見方に賛成する。
今回の選挙で自民党は、日教組との関係や日の丸をつないで党旗を作ったことで民主党を攻撃したけれど、大半の人は、何が言いたいかわからなかったんじゃないですか。もう国民は「戦後」的な問題に関心を失っているのに、自民党だけがいまだ旧言語でしゃべっている (略) (自民党は)そのギャップに耐えられなくなって、無意識的に自殺するしかなくなってしまった。
(9/4『朝日』東京本社版17面)


左右を問わず、自民党の支配体制に安住してきたこれらの人々の言論は、これまでは影響力を持ち得たかもしれない。だが、今後は苦境を強いられることになるだろう。
その意味で、来るべき民主党政権に対して選挙前から是々非々の態度を打ち出して「建設的野党」を志向している日本共産党の態度は、機を見るに敏であったと言える。












『産経』に掲載されたブルームバーグのWilliam Pesek氏の論考も面白い。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090831/fnc0908310911001-n1.htm
スポンサーサイト



コメント

コメント(18)
No title
なかなか読ませますね。バカボンしましょう。

-

2009/09/08 05:16 URL 編集返信
No title
投票日当日の、自民党の「イデオロギー」丸出しの広告には驚きましたね。。高橋氏の言う「旧言語」という表現がぴったりな、あんな広告を打ったのが、与党だったというのにも驚きです。

William Pesek氏の論考が「産経」に掲載されているというのも面白いですね。

tom@いやし系(ら抜き)

2009/09/08 08:54 URL 編集返信
No title
ネットのラウドマイノリティによる奇行は、周りで見ているサイレントマジョリティの支持につながるかというと、かえって距離を置かれることになるのでしょう。

また、前者は積極的に表向きに非難・賞賛の声を挙げますから、「支持されている(あるいは、批判されている)」と実態の伴わない実感がひろがって、趨勢を見誤ることになりましょう。

少なくとも、自分の周りで政権与党を支持するという動きのある人は、「民主党で予算がどうなるのか?」との心配からでした。今後の話ですが、民主党でも予算が守られる、となった場合、これまた支持者が流れるでしょう。
一方で、バランス感覚によって、そのあたりの支持理由はともかくとして、政権シーソーが実現するのかも知れません。

綾波シンジ

2009/09/08 09:36 URL 編集返信
No title
マニフェストとは【政策綱領】であるのでダイジェスト版でいいのでは?
【政権公約】とは違うのだから…と、理解していましたが、そうではないと思う人たちがいる、とゆうことでしょうか。
個人的には【建設的野党】にとても期待していますので頑張ってほしいです。

まけお

2009/09/08 11:18 URL 編集返信
No title
日教組も朝日も、体制迎合的にしか見えんのですが、「ネット右翼」と言われる皆さんには、大変脅威のようですね。だいたい、大多数にとって、日教組って何?、でしょう。「ゆとり教育」も、財界がバックにありましたし、そもそも実体のなかったものです。リベラル受けしそうな「東アジア共同体」は、これまた財界の肝いりで、かつて自民党ののマニフェストにもありました。民社国政権が売国政権って、私なんて、これが社民党消滅の第一歩なんじゃないかと心配してます。もし肝心な論点で、民主に引っ張られて、妥協するくらいなら、連立を解消すべきで、れが出来ないなら、社民は終わりじゃないでしょうか。私だって、安全保障上の脅威がゼロとは思いませんが、想像上の脅威が、実際の脅威をはるかに超えて膨れ上がると、もうこれは、精神病理学の領域で、話になりません。

och**obor*maru

2009/09/08 23:29 URL 編集返信
No title
田母神や中山斉彬なんて、ネット言論を意識しているような発言を繰り返してますが、ネットというのは、ある特定の催しに、何百人単位で人を動員することは可能でしょうが、大きな世論のようなものが動く場合、そこには別の様々な諸力が働いているはずです。政治家にせよ、ジャーナリズムにせよ、右派の言論が、ネットの掲示板レベルになってしまっていて、世論の流れを読めてない。だって、日本を代表する大新聞が、「集会には11万人集まったというが、数えたら2万しかいないという話もある」とかいう、隣のオヤジの愚痴みたいなことを、平気で社説に載せますからね。論評と言わないでしょう、そういうの。

och**obor*maru

2009/09/08 23:33 URL 編集返信
No title
>堀端さん

毎度バカボンありがとうございます。

Jinne Lou

2009/09/09 00:37 URL 編集返信
No title
>tomさん

この旧言語が大多数の有権者に通じると思っている感覚が、自民党にとって致命的だったんでしょう。ここまで追い詰められても状況が全く把握できてないから、平気でこんなマヌケな広告を出すわけだ。
『産経』もなかなか面白い記事が多いので、よく読みます。

Jinne Lou

2009/09/09 00:41 URL 編集返信
No title
>綾波さん

たしかにネットだと、少数派の人々が簡単につながって大きな声を上げることができますからね。いつの間にかマジョリティになったと錯覚しやすい面はあるでしょう。しかし現実にはそれらの人々はまばらに点在しているにすぎず、圧倒的なサイレントマジョリティに押し流されることになります。
似たような体験として、村上春樹や勝間和代の本を猫も杓子も読んでいるかのように喧伝されますが、周囲に読んでいる人はほとんどいなかったりします。

民主党政権に対峙するときに、実のある議論は全否定でも全肯定でもなく、個別の政策への是々非々からしか生まれてこないでしょう。当たり前ですが。

Jinne Lou

2009/09/09 00:51 URL 編集返信
No title
>まけおさん

マニフェストに夫婦別姓が書いていないからけしからんと言う人も、クマ被害対策が書いていないことについては何も言わないわけで、単にその人と民主党にとってそれらが重要だと考える度合いが違うというだけのことです。民主党にとって、夫婦別姓などクマ対策並みとまでは言わないが、それほど優先的な課題ではないんでしょう。現実路線に転じながらも芯は曲げない共産党は、これから伸びうる政党だと思いますよ。

Jinne Lou

2009/09/09 00:56 URL 編集返信
No title
>NANAMIさん

「闘う日教組」なんてもはやネット右翼の皆さんのイメージの中にしか存在せず、本当に闘っている左翼からは軽蔑されています。そのへんの認識が決定的にズレてるんですね。陳腐な使い古したイメージで「敵」を捉えている人は、右にも左にも多いです。

社民には、社会党の失敗は繰り返さないでもらいたいものです。異なる政党の集まりなのである程度の妥協は仕方ないにせよ、安保政策のように党の核となる部分で妥協を強いられるくらいなら、即刻政権を飛び出したほうがいい。

Jinne Lou

2009/09/09 01:04 URL 編集返信
No title
靖国派の議員の大量落選と、防衛族幹部の全滅を招いた今度の選挙は、ネット右翼の世界でも、その影響は甚大なようです。
Jinne Louさんのこの文章は、なかなか含蓄のある読み応えのある文章ですが、私のブログ友達は、高齢者が多く、小さい字や、長い文章は苦手と言う方も多いので、まことに失礼ながら、字は大きくして、かつ抜粋にして転載させていただきました。ご了承ください。

琵琶

2009/09/09 03:14 URL 編集返信
No title
>民主党政権に対峙するときに、実のある議論は全否定でも全肯定でもなく、個別の政策への是々非々からしか生まれてこないでしょう。当たり前ですが。

確かに「当たり前」なんですよね。
温暖化論議でも、「全否定・全肯定」的な単純な意見を見かけますが、それでは実のある論議になりません。


あ、そうそう、もちろん、サイレントマジョリティの何割かにも問題はありますよね。「小泉旋風」「郵政選挙」「政権選択(交代)」だとかにのってしまうタイプの人。
政治をあまりにも短絡的に見過ぎて、イメージというかフワフワしたもので選んでしまう行動には疑問を感じます。国政を委任するための投票なのに。

綾波シンジ

2009/09/09 21:47 URL 編集返信
No title
>琵琶さん

転載ありがとうございます。
抜粋はかまいませんが、なるべく全体の要旨が伝わるようにしていただけるとありがたいです。文字が小さくて読みづらい方には、ウィンドウズの文字拡大機能をお薦めします。

Jinne Lou

2009/09/10 02:26 URL 編集返信
No title
>綾波さん

私も民主党には是々非々で、岡田氏が強硬に主張している比例定数削減など、容認できない部分も大きいです。

たしかに今回は「政権交代」が争点として先行した感はありますが、終わってみれば案外冷静な選択だったのではないかという気がしています。少なくとも前回の郵政選挙とは明らかに異なり、自民党には明確に拒絶を示しながらも、民主党にも距離を置きつつ選ばざるを得なかった有権者の苦悩が感じられる結果です。

Jinne Lou

2009/09/10 02:43 URL 編集返信
No title
「外交」戦略の議論より、すぐ「核武装」、賛成か反対等みたいな極論にスポットをあてる手法もどうかと思いますが、

思想的右翼の方も、ネット右翼には警鐘をならしていました・・・

ネガティブキャンペーンの一環かどうかよくわかりませんが、彼らが活動する度に、多くの国民は嫌悪感を感じているのでは!?

かいざぁー

2009/09/19 06:38 URL 編集返信
No title
ネットだと、そうした極端な意見がつながりやすくなって、少数派でも多数派のように見えてしまうことがしばしばありますね。多くの人は嫌悪感を感じていても、怖がって何も言わなくなるので、より影響力が増すことにつながります。右でも左でも、まともな人たちによる極論への批判が必要でしょう。

Jinne Lou

2009/09/20 09:46 URL 編集返信
No title
>内緒さん

うちも同じような感じです。

Jinne Lou

2009/09/20 09:46 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

Jinne Lou

Author:Jinne Lou
個人>国家
公共≠国家

月別アーカイブ