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ああ無情

みずほ証券の誤発注事件に乗じて「27歳・無職」の個人投資家が、34億円の自己資金(!)をつぎこみ20億円を超える利益を上げました。片や当の誤発注を行った人物は、今週号の『週刊ポスト』によればみずほの25歳の証券マン。こちらは会社の当期利益をもはるかに上回る、400億円とも言われる金額を一瞬にして吹き飛ばしました(我が社の年商の○十年分…?)。

34億円のポケットマネーで誤発注株を買い漁った27歳青年の資産は、おそらく50億円はくだりません。このまま一生無職でも楽に暮らせる金額です。労働によって社会に何らかの貢献をした結果ではなく、私利私欲を合法的に追求した結果として、彼はこれだけの資産を手にしました。とはいえ、どんな人物かは知る由もないので下手なことは言えません。少なくとも今回の件に関して一般的な見方をすれば、ということです。

みずほの証券マンも、25歳で年収800万円を超える「エリート」でした。こちらは社会に資する労働の対価としてそれだけのカネを得ていたわけですが、今回の一件で暗転。現在は社内で厳重に隔離され、退社は避けられない見通しとのこと。ミスに気がついたときの彼の心境たるや、想像するに余りあります。彼の近況について『ポスト』の記事では「地獄の日々」と表現していましたが、まさにその言葉通りではないかと察します。
ある一瞬の不注意によって人生にとてつもない痛手を負ったであろう青年と、次の一瞬に目ざとく巨額の利益をせしめた青年。もちろん、社会的に責めを負わねばならないのは前者です。しかし両者のほんの一瞬の注意力の差と、その結果のあまりの違いを思うときに、現実の酷薄さを噛みしめずにはいられません。

「勝ち組」「負け組」。イヤな言葉です。「勝ち組」は勝つべくして勝ったのでしょうか。「負け組」は負けるべくして負けたのでしょうか。仮にそういう要素が否定できないとしても、それらをどれほど自己の功績や責任に帰することができるのか。今回の件を見るにつけ、疑問は強まります。こうしたことを身に染みて感じることができるのは、みずほの証券マン青年の側です。巨利を貪った27歳投資家氏は、露ほども考えることはないでしょう。

昨夜の帰途、顔馴染みの猫が車にはねられて無残な姿をさらしている場面に出くわしてしまいました。
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コメント

コメント(5)
No title
この誤発注の事件は、資本主義社会ではあり得ることでしょうし、いたし方がないことと思います。この矛盾を少しでも和らげる手段として考えられるのは、株での儲けにも税金を掛けることです。それも累進課税で・・・。

凡人

2005/12/20 06:30 URL 編集返信
No title
人間の明暗(「勝ち組」「負け組」)を分ける要素には、不合理で個人には左右し難い「運」「不運」のほか、左右しうる「努力」なんかもあります。だから厄介なんだと思います。運命だけでもないし、努力だけでもないから、必ずしも「勝ち組」(または「負け組」)を否定したり、擁護したりできません。ただ、Jinne Louさんのおっしゃる通り、負け組の気持ちは実感のない勝ち組には感じづらいと思います。

pho*b*_weat*er*cau*f*eld

2005/12/20 21:36 URL 編集返信
No title
これは資本主義で起こりうることではないと思いますねぇ。近代科学技術の皮肉な到達点として起こりうることじゃないかなぁ。

tou*uhy**uchi*

2005/12/20 21:37 URL 編集返信
No title
資本主義のルールや倫理上の当否はともかく素朴な感情として、株を右から左に流すだけという非生産的な活動で(おそらく「企業に投資する」という意識すらなく)億単位のカネを得られるなんて世の中はあまり健全とは思えません。まして今回のような、個人の単純ミスが引き起こした事態につけこんで大儲けする人間がいるという状況には、強烈な嫌悪感しか感じません。それが資本主義だ、と言ってしまえば身も蓋もありませんが。

Jinne Lou

2005/12/21 00:14 URL 編集返信
No title
同感です。私は働いて手に入れるお金しか信じていません。アホだけど。

tou*uhy**uchi*

2005/12/22 16:37 URL 編集返信
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