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はぁ…。

2年前にイラクで拘束された人質の1人、今井紀明氏が当時大量に受け取った批判の手紙の一部をブログで公開しました(現在アクセスが殺到して見られない状態ですが)。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/55425

あえて多くは論評しませんが、今井氏が本名もアドレスも公開して掲載した真摯な文章と、そこに大量に寄せられた無礼で低劣な匿名コメントとの落差に「何なんだこれは」と軽い衝撃を受けました。


当時、誰にも助けを求めずそれこそ「自己責任で」命からがら帰国した被害者に向かって「オマエらの自己責任だ」「カネ払え」と罵声を浴びせていたのも、やはりこういう低劣な手合いだったかと改めて確認した次第。よくもまぁ、直接迷惑を蒙ったわけでもないテレビの前の第三者が、居丈高にも赤の他人の一個人に憎悪を燃やしたり、嘲笑することに血道を上げられるものだと。しかも自分だけは安全圏に身を置きながら、陰から石を投げつける。他人を批判しながら、自分のやっていることの恥ずかしさに気づくこともできない。

ここまで彼ら人質へのバッシングに異常な情熱を燃やす人には、日常1人もお目にかかったことがありません(空港で被害者に向けて「非国民」「税金泥棒」などと書いたプラカードを掲げていた、恥ずかしいバカ数名はTVで目撃)。だけどなぜかネット上だと、夏の蚊みたいにどこからともなくわんさと湧いて出てくるようです。批判の手紙もほとんどは匿名だったそうで、さすがに差出人にも、自分の醜い文章への恥ずかしい気持ちがあったのでしょう。匿名には日常言いづらい本音を引き出す効果がある反面、人間の普段隠している醜さを否応なく露呈するものだと思い知らされました。

…お気の毒に。あなたの国では、どんなにいいことをするより、他人に(あるいは「お上」に)迷惑をかけないことの方が大事なのでしょう。家に閉じこもって、テレビを見ながら「戦争か、たいへんだなあ」と鼻毛でも抜いている人がいちばん立派なのでしょう
  (略)
「迷惑をかけた」と怒ってる人もいました。ヘンですね。その人はいったいどんな迷惑をかけられたんでしょう。わからない。少なくともわたしはぜんぜん迷惑をかけられてません。でも、人質の人たちのしたことが「迷惑」なら、そういう「迷惑」はどんどんかけてもらいたい。わたしの「血税」はそのために是非使ってもらいたい。

『朝日新聞』04/4/19夕刊 高橋源一郎〈どこかの国の人質問題〉より
http://www.asyura2.com/0403/bd35/msg/148.html

カンヌに出品されて話題になった、この問題を扱った映画「バッシング」もようやく5月末に公開されるとのこと。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060206-00000060-nks-ent
そろそろあの事件を冷静に振り返ることができる時期かとも思っていましたが、上記ブログに寄せられたコメントを見る限り、この国の市民の成熟度は絶望的に低い――そう感じてしまいます。
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コメント

コメント(14)
No title
バッシング、観てみたいなぁ。それにしても、みんな匿名ってのは酷いね。いわゆる怪文書。ブログ上でも匿名で怪文書みたいなコメント多いけど。

tou*uhy**uchi*

2006/02/10 14:13 URL 編集返信
No title
巨額の血税を食い物にしてきた官僚や政治家に対してはウンともスンとも言わない連中ほど、ちょっとミスった個人に対しては寄ってたかって「税金泥棒」などとエラソウに批判したがります。こういう輩は、本当に税金の無駄遣いに怒ってなどいないと断言します。単に弱い立場に立たされている赤の他人を見つけたのを幸いに、ボロクソに非難することで「自分は正しいことをしている」という正義ごっこがしたいだけ。または自分にできないことをしている人間に嫉妬して、彼のミスを口実に叩きまくることで快感を得ているか。愚劣の極みです。

Jinne Lou

2006/02/10 22:48 URL 編集返信
No title
同感。今井さんのところに押し寄せた匿名の中傷を、見たい気持ちもありながら見る気持ちのゆとりがありません。気持ちがバサバサになるのがわかっているから。第3者でもそうなのだから、当事者だったら如何ばかりか、と思うだけで辛くなります。なぜ権力者にへつらい、弱者をいたぶるのか、 そういう意識もなくそうしている人が問題ですね。

gru**y_c*cli*t49

2006/02/11 01:26 URL 編集返信
No title
彼らみたいな連中を1人ずつ相手にしていても、次から次へと同じようなのが現れてモグラ叩き状態になるのが関の山。こういう手合いは、構ってもらえないと「ちゃんと反論しろ」などと駄々をこねるので手に負えません。今井氏のブログに書き込まれたコメントには「匿名を批判するならオマエが住所も電話番号も晒してから言え」みたいな怒る気力も失せるほどアホなものまであって、私のような第三者ですら心が萎えてきます。今井氏には同情の念を禁じ得ません。

Jinne Lou

2006/02/11 02:42 URL 編集返信
No title
彼らは嫉妬しているだけ、というのは 私もすごくそう思いますね。 結局自分に自信がないもんだから 風説の流布に踊らされて 自分自身が持てない・・。 この国の教育、がそうしたんでしょう。 カネがすべて、地位と肩書きがよくモノ言う日本社会。 そういった腐敗を一網打尽にしないと、こんな問題が次から次へと出てきますよね。 改憲問題もまさに 同じ延長線上にあるんですよね。 一網打尽にしてやりたいですよ、本当に。

ima**co_*ess*njah

2006/02/12 09:57 URL 編集返信
No title
肩書きなしの個人では何もできない人たちほど、「個」を基点に行動する人へのひがみがあるように見えますね。一方で、組織や「お上」のやることは盲信するのが彼らです。

Jinne Lou

2006/02/12 22:44 URL 編集返信
No title
この記事から今井さんのブログと膨大なコメントを見て、ネット社会の暗部を見せつけられた思いです。私個人は、高橋源一郎氏が悩み相談の回答者を演じつつ綴っている文章に大いに共感しました。健全な批判精神っていうのはどうすれば育つものなのでしょうか・・・???

cup*uc*in*07

2006/02/12 23:37 URL 編集返信
No title
高橋氏の文章には共感した人が多かったらしく、今でも語り草になっています。「健全な批判精神」を持つのはなかなか難しいことかもしれません。「こうすれば育つ」というやり方もないでしょうが、論理と情緒の役割をそれぞれ尊重しながら、両者を意識的に区別して考えることが大事だと思っています。

Jinne Lou

2006/02/13 01:41 URL 編集返信
No title
情熱、なんじゃないですか?

ima**co_*ess*njah

2006/02/14 09:21 URL 編集返信
No title
高橋源一郎、初めていいな、と思った。こんな事を書ける人だったんですね。それにしても今井さんに対する誹謗中傷は酷すぎます。あんまり深刻に受け取らないでさらりと流してほしいです。精神的に大きなダメージ受けないかな・・。それが心配です。

jyo**ou42

2006/02/16 20:30 URL 編集返信
No title
ダメージは大きかったでしょうが、萎縮せずに発言を続けていて感銘を受けました。今井氏らの行為に問題があるとしても、彼らがこれだけバッシングを受ける日本社会の特殊さのほうが明らかにより大きな問題でしょう。海外のニュースでは、ものすごく不思議な現象として伝えられていたようです。

Jinne Lou

2006/02/16 22:30 URL 編集返信
No title
そうでしたね。海外の報道がまっとうだと思い感心しました。フランスなど・・。そういえば佐藤愛子という作家は、自己責任論を先頭に立って主張していました。こういうところで作家の質が問われるな、と勝手に思ったものでした。だから高橋源一郎、見直しました。作品、面白くはありませんが・・。

jyo**ou42

2006/02/16 22:42 URL 編集返信
No title
私自身は彼らの行動を「なぜ?今?」と思い思慮不足だとは感じましたが「自己責任」という言葉であれほど攻撃する民衆には「お前ら何様だ!」との思いが強かったです。ブログ見まして、匿名性のもとに言葉さえも選ばない言いたい放題の書面には同じ日本人として情けない思いです。

まけお

2006/02/19 15:37 URL 編集返信
No title
愚直な方法でも個人で他人や他国のために何かやろうとしている人たちを、匿名でここぞとばかり叩きまくる。それも、自分個人では他者のために何もやろうともしない連中が。本当に恥ずかしいことです。

Jinne Lou

2006/02/19 21:24 URL 編集返信
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