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「女は男性として生まれたが」


「容疑者」という呼称は、ロス事件以降に定着したと聞いたことがある(うろ覚えなので違うかもしれない)。
以前は被疑者の名前は呼び捨てが一般的だったが、さすがにそれはまずいということで発明された肩書が「容疑者」なのだろう。



これに関連して、日ごろ疑問に思っていることがある。

メディアの報道では、事件の被疑者の性別に言及する場合は「男」「女」、それ以外については「男性」「女性」と呼ぶのが習わしだ。
あまりにも当たり前の習慣になっているので、「それはそういうものだ」と思っている人が大半だろう。
だがその理由について改めて問われたときに、合理的に説明できる人がいるだろうか。
女性の被疑者を「女性」と呼ぶことに、何か不都合があるだろうか?


以下は、一人の人物について「女性」「女」「男性」という3つの表記が混在するややこしい事例だ。

性同一性障害の被告のホルモン投与、どうすべき?

 東京・銀座の元ホステスの女が交際相手を殺害したとされる事件。性同一性障害で男性から女性になった元ホステスに対し、収容先の東京拘置所が女性ホルモンの投与を拒んだ。弁護人や医師らは体調悪化を懸念するが、なぜ投与が認められないのか?
 この元ホステスの女(29)は東京地裁で昨年12月にあった裁判員裁判では時に震え、口はほとんど開いたまま。しゃべろうとしても、何度も言葉を詰まらせた。弁護人は体調不良の一因として、「拘置所が、必要なホルモン剤を投与していない」と指摘した。
 弁護側によると、女は男性として生まれたが、10代で性同一性障害と診断された。18歳から女性ホルモンの投与を開始。20歳までに性別適合手術を受け、戸籍上も女性になった。(以下略)

2016年2月10日21時18分 朝日新聞デジタル

この場合、たとえば「女性は男性として生まれたが」(女性が被疑者でなければこれが正解)、「女は男として生まれたが」(どんな場合でも不正解)のいずれでもなく、「女は男性として生まれたが」と書くのが新聞的には正しいとされているのだろう。
だが、なぜそれが正しいと言えるのか?おそらく、この記事を書いた記者にも明確かつ根源的な説明はできないのではないか。
一応、記者の端くれたる自分も大真面目に考えたのだが、もっともらしい建前として説明できるような理屈すら思いつかないのである。

誰か、分かる人は教えてください。
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コメント

コメント(18)
No title
新聞・ニュースの世界で「悪いこと」をした人は「男」「女」になって無「性」になるのは、いつごろから定着しているのでしょう?「性」が着くと丁寧語になるわけでもなし。小説や歌の世界では「悪いこと」しなくても「男」「女」が一般的なのに。暗黙のルールって結構あるんですね。

gru**y_c*cli*t49

2016/02/11 02:26 URL 編集返信
No title
仮に「性」がついたほうが丁寧で、なおかつ「悪いこと」をした人とそうでない人について丁寧さの度合いで差別をすることが正しいとして、「悪いことをした」と定まっていない被疑者の段階でそれを行うことは不合理でしょう。

「死体」の身柄が判明するとどうして「遺体」になるのか、「政府首脳」が官房長官で「政府高官」が官房副長官なのは何故なのか、いろいろ分からないことだらけです。

Jinne Lou

2016/02/11 02:38 URL 編集返信
No title
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bandotaro/20140401-00034133/
呼び捨てはどうかと考えられるようになったの、80年代後半からのようですね。だからと言って「メンバー」には笑っちゃいましたが。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/4903266.html
あと、男と女の問題については、ふだんから色々おもうところあって、咄嗟に書き切れません。「女が女性を刺し」、みたいなのとか。

ゆまりん

2016/02/11 09:39 URL 編集返信
No title
ありましたね、「メンバー」。グループのメンバーじゃなかったら、どんな呼称になっていたのか気になります。

被疑者の男女呼称問題については、そのうち新聞社に問い合わせてみようかと本気で考えています。

Jinne Lou

2016/02/12 04:22 URL 編集返信
No title
坂口安吾の話ですが、普通の会話の中で特に悪意も他意もなく「女」という言葉を遣ったら「『女の人』とおっしゃい」と当時好きだった人に言われて、それ以来文章で 「女」と書くとき躊躇しちゃったとか。変だよなとおもいつつ解る気もします。

ゆまりん

2016/02/12 10:12 URL 編集返信
No title
新聞に限らず、「男・女」と「男性・女性」のどちらが適当かという問題は、あまり表に出ません。
もし「男性・女性」に統一するとなれば、「男らしさ・女らしさ」は「男性性・女性性」と書くのでしょうか。何か変な感じがします。

k-k-kentaro

2016/02/12 16:41 URL 編集返信
No title
私も不思議に思っていました。
でも「女」と言う言葉が、ニュースで流れる時は「女」は被疑者と言う感覚が
刷り込まれてしまった感があります。

韓国の留学生と話した時に、「おんな」と言う言葉を普通に使われるので、
違和感をちょっと感じたことがありました。
間違った表現ではないのに。

alf's mom

2016/02/12 20:07 URL 編集返信
No title
> ゆまりんさん

なるほど。とくに男が発する「女」には、「男」とは完全に対ではないニュアンスがあります。そのへんは“女の人”たちのほうが敏感に感じ取るんでしょう。

Jinne Lou

2016/02/13 06:37 URL 編集返信
No title
> k-k-kentaroさん

メディアでは殊更に取り上げられないテーマかもしれません。朝日新聞の校閲センターにメールで問い合わせたら、「今後の参考にさせていただきます」という紋切型の返事が返ってきました。

基本的に「男」「女」を単独では使わない新聞も「男らしさ・女らしさ」のような熟語としては普通に採用しているので、これはとくに問題ないんじゃないでしょうか。

Jinne Lou

2016/02/13 06:43 URL 編集返信
No title
> alf's momさん

たしかに「女」と書かれていると、それだけで「被疑者なんだな」と分かるので、その便利さはありますね。ただそれはあくまで副産物的な効用なので、あえて表記を分ける根源的な理由にはなりません。

「女」には、日本語を母語とする人にしか分からない独特のニュアンスがありますね。
だから今はフォーマルには「女性」と書きますが、昔は「婦人」でした。ただ男性を表すときに「婦人」の対になる言葉がないので(「婦人誌」とは言っても「殿方誌」は聞かないので)、それだけ女性を表す言葉は微妙なものをはらんでいるのでしょう。

Jinne Lou

2016/02/13 06:54 URL 編集返信
No title
なるほど。「男らしさ・女らしさ」の件は問題ないのですね。了解です。
そう言えば、「彼」「彼女」とは使いますが、「彼男(かのだん?)」とは使いませんね。これも「男・女」が必ずしも対になっていない例だと思います。

k-k-kentaro

2016/02/13 08:03 URL 編集返信
No title
たしかにそうですね。性別に関する言葉の多くは、まず男に関するものが基本形で、そこから派生する形で女に関するものが作られた感じがしますね。英語でもmaleとfemaleなんかそうですし。
でも生物学的には逆に女が基本形で、男はそれを元に変形して作られたと聞いたことがあります。

Jinne Lou

2016/02/14 05:04 URL 編集返信
No title
性別は基本が二つ、合計4種類が必要
出生時の身体的特徴から、「男の子」か否(女の子)か
成人時に詳細を確認して、「女→母」か否(男、Missなど)か
家父長制や男尊女卑でも「母」は最上位のようです

問題の殺人犯は、男の子として生まれ、母になれない者。存在ごと否定したい差別意識が働いた恐れもあります。

IB

2016/02/15 05:09 URL 編集返信
No title
申し訳ないですが、文章がとっちらかってて趣旨が理解できません。

・〈成人時に詳細を確認して、「女→母」か否(男、Missなど)か〉の文意が分からない



・〈存在ごと否定したい差別意識が働いた恐れも〉

誰が何の存在を否定したいと言っているのか?

それは何についての話なのか?殺人の動機についてなのか、新聞記事の表記の話なのか?

この記事は一応、報道における被疑者の呼称がテーマなので、殺人の動機とか性同一性の問題とかは念頭にないんですが。

Jinne Lou

2016/02/16 01:52 URL 編集返信
No title
> Jinne Louさん
これは失礼。ここまで微妙な性差別には興味が無い
結局は「男が創った社会」に過ぎないし

IB

2016/02/16 23:02 URL 編集返信
No title
被疑者の呼称に関しては「女」も「男」も対等に使われているので、「性差別」だとは思っていません。

ここではジェンダーの話をしているのではなく、通常は「男性」「女性」と表現される性別が、被疑者だとどうして「男」「女」になるのかという、一般人と被疑者との不可解な区別について書いています。

Jinne Lou

2016/02/17 00:44 URL 編集返信
No title
「女は男性として…」が載ってた記事、わけあって今日読みました。この場合、被疑者、いやもう裁判になってるわけですから被告ですか、そういう表現にしたらどうだったんでしょう。というか、それはそれとして、記事の文章が下手だなという気もしますが、スペース上仕方なかったのかな……。

ゆまりん

2016/02/20 22:46 URL 編集返信
No title
たしかに「被告は男性として…」のほうが違和感ないですね。もう少しうまく書けなかったものかと思います。全体的によくまとまってない印象を受けました。

Jinne Lou

2016/02/21 05:09 URL 編集返信
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